リハビリテーション
〜リハビリテーションの一例〜
ここで当院で実施しているリハビリの様子の一部を説明します。
主なリハビリ内容
・マッサージやストレッチ
筋肉の緊張をほぐし、柔軟性を高めます。
・低周波治療やレーザー療法、温熱療法
血行を良くして、痛みをやわらげます。
・水中トレッドミル(ウォーキングマシン)
水の中で歩くことで、関節への負担を減らしながら筋力をつけます。
・バランスボールやキャバレッティレール
体幹を鍛えて、バランス感覚や筋肉を強化します。
<徒手療法>
「徒手療法(としゅりょうほう)」は、マッサージやストレッチ、関節を動かす運動などを人の手を使って行う方法のことです。特別な道具や機械は一切使いません。
〜徒手療法のメリット〜
・体が柔らかくなる(筋肉の伸展性の改善)
固くなった筋肉が伸びやすくなります。
・関節がよく動くようになる(関節可動域の拡大)
肘や膝などの関節が、よりスムーズに大きく動かせるようになります。
・筋肉が強くなる(筋肉の増強)
筋肉を鍛える効果も期待できます。
・バテにくくなる(持久力の強化)
体力がついて、長く活動できるようになります。
・動きがスムーズになる(運動機能の改善)
日常生活での動きが楽になります。
・体のめぐりが良くなる(代謝の促進)
血行が良くなったり、老廃物が排出されやすくなったりします。
・ケガの予防(二次的な損傷を防ぐ)
他の病気やケガで弱った部分が、さらに悪くなるのを防ぐのに役立ちます。

ストレッチしている様子

<レーザー療法>

レーザー治療は、特殊な光を体にあてることで、血のめぐりを良くしたり、痛みを和らげたりする治療法です。筋肉や関節に光をあてることで、様々な効果が期待できます。
・血行が良くなる
・痛みが和らぐ
・炎症が抑えられる
・体の組織が回復しやすくなる
この治療の一番の特長は、痛みが全くないことです。そのため、動物に対してもストレスなく安心して行うことができます。注射や手術が苦手な動物にも優しい治療法です。

レーザーを当てている様子
<高周波治療器>

〜電気刺激療法(EMS)と超音波療法〜
特別な機械を使って行う治療法です。どちらも、動物自身が頑張って動かなくても良いので、体に負担が少ないのが特徴です。
電気刺激療法(EMS)って?
電気刺激療法(EMS)は、電気の力で筋肉を動かす治療法です。微弱な電気を流すことで、関節を動かさなくても筋肉が縮んだり緩んだりします。
〜EMSで期待できる効果〜
・筋肉が細くなるのを防ぐ(筋萎縮の防止)
ケガや病気で動かせない期間が長くても、筋肉が衰えるのを防ぎます。
・筋肉を強くする(筋力増強)
筋肉を鍛える効果も期待できます。
超音波療法って?
超音波療法は、目に見えない音の波(超音波)を使って体の奥を治療する方法です。体の表面からは届きにくい深い場所にある筋肉や組織に超音波をあてます。
〜超音波療法で期待できる効果〜
・体を温める効果(温熱効果)
体の奥深くを温めることで、痛みや筋肉のこわばりを和らげます。
・細胞を元気にさせる(細胞活性)
細胞の動きを活発にして、体の回復力を高めます。
・炎症を抑える
腫れや赤みなどの炎症が早く治まるのを助けます。
これらの治療法は、動物が無理に動く必要がないため、体にほとんど負担をかけません。痛みがある動物や、自分で動くのが難しい動物にも安心して使えるのが大きなメリットです。

EMS中の様子

超音波を当てている様子
<運動療法>
運動療法は、体を動かすことで病気やケガの回復を助けたり、体の機能を良くしたりする治療法です。ただ体を動かすだけでなく、それぞれの状態に合わせて、どんな運動をどれくらいするのかを考えて行います。
運動療法は、特別な器具がなくてもできる身近な方法から、専門的な機械を使う方法まで様々です。どの方法を選ぶにしても、最も大切なのは、無理なく、適切な方法で行うことです。相談しながら、その子の状態に合った運動療法を選ぶことが、効果を最大限に引き出すカギとなります。

〜バランスボールやバランスディスクを使った運動って?〜
様々な形をしたクッションやボールを使って行う運動です。体の様々な部分を鍛えたり、機能を向上させたりできます。
期待できる効果)
・体幹(体の軸)が鍛えられる
お腹周りや背中の筋肉など、体の中心を支える筋肉が強くなります。
・バランス感覚や筋力がアップする
フラフラせずにしっかりと立てるようになったり、足腰の力がついたりします。
・良い姿勢を保てるようになる
正しい姿勢を維持する力がつきます。
・自分の体の位置や動きを感じる力が養われる(固有受容感覚の訓練)
目を閉じていても、手足がどこにあるか、どう動いているかがわかるような感覚が磨かれます。
〜キャバレッティってどんな運動?〜
キャバレッティは、地面に棒などを並べて、その上をまたいで歩くような運動です。
期待できる効果)
・手足の関節がよく動くようになる(四肢の関節可動域の増幅)
棒をまたぐことで、手足の関節を大きく動かす練習になります。
・歩幅が広がる
いつもより大きく一歩を踏み出す練習になります。
・自分の体の位置や動きを感じる力、バランス、筋肉の連携が回復する
どの足をどのくらい上げれば良いか、バランスを取りながら歩く練習になるため、これらの感覚や機能が向上します。
〜コーン(ジグザグ運動)ってどんな運動?〜
コーン(ジグザグ運動)は、床に置いたコーンを避けながらジグザグに歩く運動です。
期待できる効果)
・特定の足や手によりアプローチできる
コーンの配置を工夫することで、鍛えたい側の手足に集中して負荷をかけたり、動きを促したりすることができます。例えば、右足を鍛えたい場合に、右足を多く使うようなコース設定をすることで、効果的にトレーニングできます。
これらの運動は、楽しみながら体の機能を高めることができる方法です。

様々なタイプのバランスボールがあります。


キャバレッティレールの様子

<ウォータートレッドミル>

ウォータートレッドミルは、水の中で歩く練習ができる特別な機械です。ガラス張りの箱の中に水が張ってあり、その中でベルトが動くことで、動物たちが水中を歩けるようになっています。 ウォータートレッドミルの最大のポイントは、水の「浮く力(浮力)」を利用することです。水の中だと、体がふわっと浮くので、普段地上で感じる重力が少なくなります。そのため、関節に痛みがあったり、たくさん運動できない子でも、痛みや不快感などを軽減させて歩く練習ができるんです。地上では歩くのが難しい場合でも、水中ならスムーズに歩けることもあります。
また、水の中を歩くのは、地上を歩くよりもずっと抵抗があります。そのため、地上での歩行に比べて約4倍も運動量が増えると言われています。短い時間でも効果的に運動ができます。そのため、ダイエットや運動不足の解消、シニアの子の運動などにも効果的です!
色々なリハビリの中でも、特に全身の運動機能を改善する効果が高いとされています。効率よく体を鍛えられる分、運動としての負荷もしっかりとあります。 〜期待できる効果〜 ・関節が大きく動くようになる(関節可動域の拡大)
水の浮力で関節への負担が減り、動かせる範囲が広がります。
・痛みが和らぐ(疼痛緩和)
水中での運動は関節への衝撃が少ないため、痛みを軽減しながら運動できます。
・代謝・筋力・心肺機能の向上
全身運動になるため、基礎代謝が上がり、筋力アップが期待できます。
・自分の体の位置や動きを感じる力が身につく(固有受容覚の向上)
水の抵抗を感じながら歩くことで、手足が今どこにあって、どのように動いているかという感覚がより研ぎ澄まされます。
・バランスが良くなる(バランスの向上)
不安定な水中での動きは、バランス感覚を養うのに役立ちます。
・腫れやむくみが改善される(腫脹や浮腫の改善)
水圧が体のむくみを取り除くのに役立ちます。
ウォータートレッドミルは、体の負担を少なくしながら、効率よくリハビリや運動ができる、とても効果的な方法なんです。