ハムスターについて

~ハムスターって?~

 ハムスターは、げっ歯類の一種で、世界に5属24種存在します。その中には、野生のゴールデンハムスターのように絶滅危惧種に指定されている種類もいます。


 日本でペットとして飼育されていることが多いのは、主に以下の5種類です。

・ゴールデンハムスター
・ジャンガリアンハムスター
・キャンベルハムスター
・ロボロフスキーハムスター
・チャイニーズハムスター


 これらのうち、ジャンガリアン、キャンベル、ロボロフスキー、チャイニーズの4種は「ドワーフハムスター」と呼ばれています。



〜ハムスターの特徴〜

<生息地>
ヨーロッパからアジアの乾燥地帯
 
<性格>
温和で、通常はあまり鳴きません。ただし、警戒心や興奮状態になると、甲高い声で威嚇することもあります。
 
<食性>
草食傾向の強い雑食性で、植物だけでなく、昆虫や小さな動物も食べます。
 
<活動時間>
主に明け方や夕方に活動する夜行性です。
 
<習性>
頬袋に食べ物を入れて巣に持ち帰る習性があり、厳しい環境を生き抜くために巣穴に大量の餌を貯蔵します。また、寒さから身を守るために冬眠する種類もいます。

 

ハムスター 診察

~ゴールデンハムスターの特徴~

ゴールデンハムスター 特徴

 ゴールデンハムスターは、ペットとして飼育されるハムスターの中で最も古く、最も大きな種類です。シリア北西部などが原産地で、別名として「シリアンハムスター」とも呼ばれます。

 現在、世界中で飼育されているゴールデンハムスターは、1930年にシリアで捕獲された13匹の子孫が起源とされています。日本では第二次世界大戦後に実験動物として導入されましたが、その後、愛玩動物としても広まりました。


 一般的に温厚な性格で、ペット向きとされています。特に長毛種は穏やかな個体が多いようです。ただし、個体差はあり、メスの方がオスよりも気が強く攻撃的になることがあります。
 
 野生のゴールデンハムスターは冬眠をしますが、飼育下での冬眠は体力を消耗し、命にかかわるため推奨されません。
 
 毛色は本来は背中が茶色、お腹が白い「ノーマル」という毛色ですが、ペットとしては「キンクマ」と呼ばれるクリーム色をはじめ、グレー、ブラック、ホワイトなど、さまざまな毛色や模様、毛質の個体が存在します。

~ジャンガリアンハムスターの特徴~

ジャンガリアンハムスター 特徴

 ジャンガリアンハムスターは、カザフスタン東部やシベリア南西部が原産地の小型ハムスターです。足の裏の毛が長いのが特徴で、人によくなつきやすいです。  
 寒い時期になると、一部の個体は毛の色が白く変化することがあります。これは繁殖に関わる体の変化と関連しています。毛色が白色の時は繁殖できません。
 
 冬眠はしませんが、気温が19℃を下回ると、体力を温存するために短時間の「休眠状態」に入ることがあります。
 
 飼い主様が適切に管理すれば、複数で飼育することも可能です。ただし、相性には個体差があります。
 
 外見がよく似ているため、キャンベルハムスターと混同されることが多いです。また、両種は交配も可能です。
 
 本来の毛色は、背中が灰色で腹部が白く、背中に黒い線がある「ノーマル」ですが、ペットとしては「サファイア」や「パール」など、多様な毛色の種類が存在します。

~キャンベルハムスターの特徴~

キャンベルハムスター 特徴

 キャンベルハムスターは、ロシアやモンゴル、中国の半砂漠地帯に生息する小型ハムスターです。ジャンガリアンハムスターと同様に足の裏の毛が長いです。

 ジャンガリアンハムスターよりも気が強く、人にはなつきにくい傾向があります。日本ではジャンガリアンハムスターの方が人気ですが、欧米ではキャンベルハムスターの方が一般的です。  
 ジャンガリアンハムスターと同様、複数飼育が可能です。単独で飼育すると寿命が短くなる可能性があるとの報告もあります。ただし、相性には個体差があるため、注意が必要です。
 
 本来の毛色は、背中が赤褐色、腹部が白色で、背中に黒い線が入った「ノーマル」です。ペットとして飼育されているキャンベルハムスターは、ドワーフハムスターの中でも特に毛色の種類が豊富で、アージェント(イエロー)、ホワイト、アルビノ、ブラック、パイドサファ イア、パール、プディング(イエロー)、 パイドなど、多くのバリエーションが存在します。

~ロボロフスキーハムスターの特徴~

ロボロフスキーハムスター 特徴

 ロボロフスキーハムスターは、ロシアやモンゴル、中国などに生息する、ペットとして飼育されるハムスターの中で最も小さい種類です。1960年代にロンドン動物園が中国から輸入したことが、ペットとしての歴史の始まりです。  
 頭部が大きく、両目の上に眉のような 模様があり二頭身の体型です。
 
 性格は臆病で、動きは素早く、人に慣れにくい傾向があります。そのため、直接触れ合うことよりも、ケージの中で動き回る姿を観察する「鑑賞」に向いているとされています。
 
 興味のあるものを口で確かめる習性があるため、噛まれないように注意が必要です。夜行性ですが、他のハムスターに比べて日中に起きていることも比較的多いです。
 
 本来の毛色は、背中が茶色、腹部が白色で、目の上に白い眉のような模様がある「ノーマル」です。ペットとしては、ホワイトフェ イス、パイド、アルビノ、などさまざまな毛色が知られています。

~チャイニーズハムスターの特徴~

チャイニーズハムスター 特徴

 チャイニーズハムスターは、中国北西部や内モンゴル自治区が原産です。他のハムスターとは異なり、ネズミのような細長い体と長い尾を持つのが最大の特徴です。  
 1919年に中国の大学で肺炎球菌の研究に利用されたのが始まりで、1948年にはアメリカにも輸出されました。遺伝性糖尿病や、他のげっ歯類より少ない染色体の数(2n=22)といった特徴から、細胞遺伝学や感染実験、糖尿病などの研究にも使われています。
 
 本来の毛色(ノーマル)は、背中が暗い茶色で、腹部が白色、背中に黒い線が入っているタイプです。ペットとして飼育されているものには、シルバー、ホワイト、パイドなどの毛色も存在します。

~ハムスターの身体的特徴~

 ハムスターには臭腺があり、オスは特に発達しています。これは、縄張りのマーキングに使うためのもので、黄色い分泌物を分泌します。

・ゴールデンハムスター: 左右の腰のあたりに臭腺があります。
・ドワーフハムスター: 左右の口角と腹部の中心に臭腺があります。

ハムスター 特徴

 乳腺はハムスターの種類によって数が異なり、例えばゴールデンハムスターには14個、チャイニーズハムスターには8個あります。  
 夜行性のため、聴覚や嗅覚に比べて視力は劣っています。また、ハムスターの眼窩は浅く、瞼も薄いため、保定時などに目が飛び出しやすいという特徴があります。通常は自然に戻りますが、保定する時は注意が必要です。

 頬袋が左右に一つずつあり、食べ物を運んだり、貯蔵したりするために使います。危険を感じたときには、赤ちゃんを隠す場所としても利用します。

ハムスター 歯の病気

 歯は全部で16本あり、そのうち前歯(切歯)は一生伸び続けます。前歯の表面は黄色いのが特徴で、下の前歯は上の前歯の3倍ほどの長さがあります。上顎の切歯は1週間ほど、下顎の切歯は2.5~3週間で完全に入れ替わるます。

~ハムスターの飼育~

ハムスター 喧嘩

 体が小さなハムスターの健康は、飼育環境に大きく影響されます。中には管理不足での事故で致命傷になることもあります。

 ハムスターは単独飼育が基本で、1匹につき、十分に広く、通気性がいいものを用意しましょう。
 
ゴールデンハムスター
単独での飼育が推奨されます。多頭飼育は激しいケンカや共食いの危険があります。
 
ドワーフハムスター
多頭飼育も可能ですが、個体同士の相性が重要です。基本的には単独飼育をお勧めします。
 
ジャンガリアン
同性同士での複数飼育が可能ですが、ペアは雌が年上で雄が若い場合は闘争になる危険性があります。
 
ロボロフスキー
複数頭の群れでの飼育でなく、ペアでの飼育が推奨されます。
 
チャイニーズ
同ケージ内の個体に対して攻撃的になる場合が多いため、単独飼育が推奨されます。

ハムスター 熱中症

 ハムスターは18〜24℃の温度と40〜60%の湿度が最適です。暑さに弱く熱中症になりやすいため、夏場の温度管理と通気性の確保が非常に重要です。  夜行性のため日光浴は必要ありません。また他のげっ歯類と同様に日照時間は12時間ずつの明期と暗期が好ましいです。
 
 ケージはプラスチック製が一般的ですが、かじってしまう場合はガラス製が良いでしょう。水槽は保温性に優れますが、通気性が悪くなりがちなので注意が必要です。

 敷材は木材のチップやトウモロコシの穂軸、紙の製品、ペットシーツなど様々な材質のものが流通しています。アレルギーや誤食など病気や事故につながることもあるため、性格や体質などを考慮して選んでください。
 人工繊維や綿は、ハムスターの体に絡まったり、消化器系の病気の原因になったりするため避けてください。長毛種には、毛に絡まりにくい床材を選びましょう。
 また、ハムスターはよく潜り込むので、なるべく柔らかく、尖がていない、食べても大丈夫なものを選ぶのがお勧めです。

 食器はなるべく小さく、ひっくり返されたり、かじられたりされにくいものを選びましょう。陶器製のものがお勧めです。

 ハムスターが安心して隠れられるような巣箱も用意してください。ハムスターはごはんを巣箱に運び入れるので、入り口は頬袋いっぱいでも通れるような広さのものを選び、1日1回は中を確認し、古いごはんや湿ったごはんは取り除いて清潔に保ちましょう。
 

ハムスター 回し車

 掃除は、基本的に週に1回の床材交換で十分です。ハムスターは決まった場所で排泄することが多いため、トイレやごはんの貯蔵場所は毎日掃除して清潔に保ちましょう。

 ハムスターはゲージの一角に排泄場所を決めることが多いので、ケージの角にトイレを用意してあげると掃除が楽にできます。

 回し車やチューブなどを設置し、運動できる環境を整えましょう。回し車は、ハムスターがケガをしないよう、金網製ではなくプラスチック製がおすすめです。

~ハムスターのごはん~

ハムスター ごはん

 ハムスターは夜行性なので、夕方から夜にかけてごはんを与えます。一度にまとめて食べる習性があるため、常にごはんを与えっぱなしにすると肥満の原因になります。  
 高タンパク質で低脂質なごはんが理想的です。成長期や妊娠中のハムスターには、特に高タンパク質のごはんを与えましょう。
 
 ひまわりの種などの種子類は、与えすぎると肥満や骨粗鬆症の原因になるため注意が必要です。落花生も、多量に与えると消化不良などを起こす可能性があります。生野菜を多量に与えるのは軟便につながる可能性があるため、ほどほどにしましょう。
 
 ハムスターは乾燥地域に適応しているため飲水量は少ないです。ゴールデンハムスターはごはんの食べる量が減ると多尿になる傾向があります。

動物病院 予約

当院は完全予約制です。まずはお電話でご相談くださいますよう、お願いいたします。夕方、土日、祝祭日は混雑が予想されますので、お早めに連絡いただけますようお願いいたします。