シマリスについて

~シマリスって?~

 シマリスはリス科の動物で、世界に25種類が知られています。そのうち、ペットとして日本で飼育されているのは、ほとんどがシベリアシマリスの亜種であるチュウゴクシマリスという種類です。日本にはシベリアシマリスの亜種であるエゾシマリスが北海道に固有種として生息していますが、ペットとして輸入されたチュウゴクシマリスが北海道で野生化し、在来種との交雑の危険性が懸念されています。


 シマリスは、北米、アジア、ヨーロッパなど広範囲に生息しています。シベリアやモンゴル、中国北部・中部、韓国を中心としたユーラシア大陸から東アジア(日本は北海道)にかけて生息しており、主に森林地帯で暮らしています。


 シマリスは昼間に活動し、地上と樹上を行き来しながら素早く走り回ったり、ジャンプしたりします。基本的には単独で行動し、それぞれが巣を持ちます。しかし、鳴き声や匂いで互いの存在を認識しながら、適度な距離を保って生活しています。

 地下にシンプルな巣穴を掘ることが多く、平均して1.8メートルのトンネルの先に、深さ70センチの巣穴があります。草食傾向の強い雑食で、ドングリや種子、昆虫、時には鳥の卵や雛も食べます。特にドングリは好んで食べ、冬眠に備えて貯蔵します。
 

シマリス 野生

<シマリスの基本的な特徴>

シマリス 特徴

シマリスは毛色や体形など近縁のげっ歯類とも異なる特徴がみられます。  
シマリスは野生の習性が強く、大人の子が人に慣れるのは難しい動物です。ただし、生後8〜16週より前に人間が触ったり飼ったりした場合は、慣れる可能性が高くなります。
 
 背中に特徴的な縞模様を持つげっ歯類です。この縞模様は、自然環境に溶け込むための保護色になっています。春と秋に毛が生え変わります。ペットとしてのシマリスには他にもアルビノやクリーム色などの毛色が知られています。


 体は細長く、体の2/3ほどの長さの長い尾と、食べ物を入れるための頬袋を持っています。前足は指が4指(第一指が退化)で穴掘りに適しており、後ろ足の指は5指で、高いジャンプ力を持つ発達した後足が特徴です。爪は長く、木登りや穴掘りに役立ちます。

 昼行性なので視覚が優れています。また、聴覚も鋭く、長いひげや前足にある感覚毛で、狭い場所の幅などを認識できます。歯は全部で22本あり、前歯(切歯)は一生伸び続けます。前歯の表面は黄色いのが特徴です。

 尾の皮膚が薄く、引っ張ると簡単に剥がれてしまう「尾抜け」が起こりやすいので、取り扱いには注意が必要です。

~冬眠~

デグー 飼い方

 シマリスは冬眠します。冬眠の準備は9月中旬から始まり、地下の巣穴にドングリなどの餌を大量に貯蔵します。この時、食べ残した種子が翌年に芽を出すことから、森林の生態系に重要な役割を果たしていると考えられています。  
 野生のシマリスは、秋から春にかけて冬眠しますが、眠り続けるわけではありません。2~7日ごとに目覚めて、貯蔵した餌を食べて排泄します。そのため、冬眠前に過剰に脂肪を蓄えることはありません。冬眠期間はオスは平均約180日、メスは平均約194日と非常に長いです。

 飼育環境では、冬眠させない方が生存率や寿命が長くなる傾向にあり、冬眠中の死亡率も5%と高いため、避けるべきです。気温の低下だけでなく、照明や餌など様々な要因で冬眠状態になることがあるため、寒い時期は保温を心がけていても冬眠してしまうことがあるので注意が必要です。

 冬眠中は、心拍数や呼吸数、体温が大幅に低下します。心拍数はわずか3~6回/分、体温は8~10℃まで下がることがあり、病気と間違えられやすいので注意が必要です。

~シマリスの繁殖・出産~

 シマリスは、生まれた翌年または翌々年の4月以降に性成熟し、4月から9月の間に繁殖期を迎えます。発情期になると、雄は黒化し発達した陰嚢を持ち、攻撃的になったりマーキングのために放尿したりすることがあります。一方、メスは外陰部が赤く腫れ、繁殖期中に妊娠するか、期間が終わるまで平均13〜14日周期で発情を繰り返します。
 発情中は頬を膨らませて「キーキー」 「ホロホロ」と 鳴いたり、しゃっくり様のひくつきや一点凝視などの特徴的な行動をします。また食欲の低下や毛並みが悪くなる、などが認められるため、体調不良のように見える場合があります。
 
 シマリスの赤ちゃんは未熟な状態で生まれ、体長約3cm、体重約3gと非常に小さいです。生後約25日で耳が開き、約35日で目が開いて巣から出てくるようになります。生後1週間以降なら人工哺育が可能です。希釈した練乳やベビーシリアルを、成長に合わせて徐々に与える間隔を長くしていきます。給餌後は、排泄を促すために陰部と肛門を優しく刺激してあげましょう。給餌量は生後100g未満では、体重の5%から始め、それ以上になったら7%を目安に与え、フンや消化の状態を見ながら調整してください。

<飼育環境>

シマリス 飼育

 シマリスは、他のペットに比べて野生の習性が強く残っています。原則として、野生動物として扱い、ストレスによる常同行動や自傷行為を起こさないよう注意が必要です。  
 シマリスは寒さには強いですが、暑さにはやや弱く、最適な温度は20〜25℃です。冬の間でも低温で活動性が低下することがあるため注意が必要です。


 紫外線は骨の病気を予防するため、時々日光浴をさせましょう。ただし、直射日光や外敵にさらされないよう注意が必要です。
 
 シマリスは、十分な広さと十分な数の巣箱があれば複数飼いも可能とされていますが、個体同士の相性によってはケンカになるリスクがあるため、単独飼育が最も望ましいです。
 
 活発に上下運動をするため、広い床面積と十分な高さのあるケージが必要です。止まり木やステージなどを使い、立体的なレイアウトにしましょう。ケージの素材は、かじる力が強いため丈夫な金網製がおすすめです。網目は細かく、足や爪が挟まれないものを選びましょう。床材はケージ内に巣箱などを設置できれば床材は必ずしも必要ではありません。床材を用いる場合は少なくとも3〜6cm、できれば10cm以上の深さに敷き、掘れるようにしてあげると良いでしょう。床材には牧草やおがくず、広葉樹のウッドチップ、土などを用いることができます。回し車は必ずしも必要ではありませんが、設置する場合は足を挟まない安全なものを選びましょう。

 給水ボトルはかじられないように、口がステンレスなどの丈夫な素材でできているものが適しています。
 
 シマリスは、体が隠れるサイズの巣箱を必ず用意しましょう。最低でも15×20×15cmの大きさのものが1つ必要です。複数飼育の場合は、ケンカを防ぐために巣箱の数を増やす必要があります。巣箱の中は、細かく切った紙や乾燥牧草で満たしますが、化学繊維は頬袋に詰まるリスクがあるため避けましょう。シマリスは本能的に餌やちぎった床材を巣内に貯蔵することから、特に春や夏、離乳期は貯蔵物が腐敗する可能性もあるため、巣箱の中の貯蔵物を毎月掃除しましょう。ただし、巣箱の餌をすべて取り出すとシマリスが頬袋内に過剰に餌を貯蔵し続けることがあるので、一部は残しておきましょう。冬眠中は触らないでください。

 ケージの隅で排泄することが多いので、週に1回トイレの掃除を、月に1回はケージ全体の掃除をすると良いでしょう。掃除は夜に行うのがおすすめです。

<シマリスのごはん>

シマリス ごはん

 シマリスは昼行性のため、ごはんをあげる時間は朝が良いです。ごはんはリスやハムスター用のペレットを主食とし、副食として動物性タンパク質(昆虫、煮干し、チーズ、ゆで卵など)や、種子類、野菜、果物などを与えましょう。種子類は脂肪が多く、カルシウムが少ないため、与えすぎると肥満や骨の病気の原因になります。少量だけ与えるようにしましょう。小麦や小麦胚芽はビタミンEを豊富に含むため、適量与えることで繁殖力向上に繋がります。若いシマリスには動物性タンパク質多めに与えることが推奨されています。トウモロコシフレークは夏場にたくさん与えすぎると、発情しすぎたり、かゆみの原因になったりすることがあります。

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