• 　野生のチンチラはアンデス山脈の標高の高い冷涼な地域で生息している動物です。現在、野生のチンチラはチリの保護区の一部にわずか数千頭生き残っている程度で、貴重な野生動物になっています。

• 　歴史的にはチリだけではなくペルーやアルゼンチン、ボリビアなどアンデス山脈西側全域にかけて広範囲に生息していたと考えられます。その後、その美しい被毛に魅せられて、金や銀と同じように略奪が始まり、一気に絶滅の危機への道をたどりました。

• チンチラがほぼ絶滅しかけていた1932年に1人の鉱山技師により13頭のチンチラがアメリカに連れてこられています。この13頭のチンチラが今飼われているチンチラの祖先です。

• 　チンチラの特徴といえばなんといってもその被毛です。被毛は非常に細かく、高密度に生えていて、美しい光沢感があるのが特徴です。1つの毛穴から、なんと50〜100本の毛が生えています。また皮脂腺からラノリンという物質が分泌され、これによって被毛に汚れが付きにくく、あの美しい光沢の源となっています。

• 　毛色はグレー（スタンダード）、ベージュ、バイオレット、ブラック・ベルベット、ブラウン・ベルベット、ホワイト、エボニーなどがあり、バリエーション豊かです。

• 　前肢はとても器用に動きます。前肢の指は4本ですが、2つの偽指が発達しており、この偽指を親指代わりにして、残りの4本の指とともに片手で物を器用につかんだり、持ち上げたりできます。後肢はジャンプするのに発達していて、1mくらいは垂直にジャンプできます。

• すべての歯は常生歯で、生涯伸び続けます。雄には陰嚢がありません。そのため、外観から睾丸の有無で雄雌を判断するのは難しいです。雌雄鑑別は他の齧歯類と同様に肛門と生殖突起の距離で判断します。

• 　平均寿命は10年と他の齧歯類と比べると非常に長いのが特徴です。チンチラは社会性のある動物で、野生のチンチラは群れで生活しています。

• 　チンチラは外敵に襲われると被毛が部分的に抜けることがあります。これはファー・スリップと言われ、飼育下でも急に触れたりつかんだりすると起きる可能性があるため注意が必要です。

• 　チンチラは非常に活動的なため、よじ登ったり、ジャンプしたりと十分な活動を満たすことのできる空間を用意する必要があります。そのため、できる限り大きなケージを用意し、チンチラの活動時間である夜間にケージの外で一定時間遊ばせる方法が良いです。また、床面積だけでなく、高さのあるケージを選んであげましょう。

• 　基本的には単独飼育をお勧めします。とても繊細な動物のため、隠れ家が必要です。

• 　チンチラは乾燥環境で比較的低い温度を好むため、飼育下では10～20℃が理想的であり、温度を18℃以下、湿度50%以下にすることで健全に被毛が成長します。そのため、高温多湿に弱く、28～30℃を超えると熱中症になります。

• 　被毛は砂浴びによって管理しましょう。毎日砂浴びをさせるのが理想的で、少なくとも1週間に数回はさせた方が良いです。チンチラがローリングできるくらいの入れ物（バットなど）に2～3㎝ほど砂を敷き詰めます。チンチラは1時間ほど砂浴びに時間を費やしますが、砂浴びのし過ぎは結膜炎を引き起こすこともあるので注意が必要です。（特に若い子！）

• 　もともと野生のチンチラは栄養価の低い乾燥した草や灌木、樹皮を食べています。ペットのチンチラも高繊維で咀嚼に時間のかかる食べ物を主食にするのが理想的です。そのため、乾燥（牧草など）をメインに、ペレットで栄養素を補うのが一般的です。

• 　チンチラはペレットを手に持ってゆっくり食べるため、1日かけて食べきっていれば問題ありません。ペレットはチンチラ専用のものが販売されています。

• 　ペレットは1日大さじ1杯～2杯で十分であり、ペレットのみのごはんは消化に不十分であり、腸炎が生じる可能性があります。チンチラは主に夜にご飯を食べ、全体の70％以上夜間に食べます。