モルモットについて
~モルモットって?~
現在、ペットとして飼育されているモルモットの歴史はとても古く、一説によると紀元前1000年頃に家畜化されたと言われています。
モルモットは、テンジクネズミ科のげっ歯類です。日本語の「モルモット」という名前は、オランダ語の「マーモット(Marmot)」に由来します。これは、オランダ人が高山に住むリス科のマーモットと見間違えたことが始まりだと言われています。
また、モルモットは英語で「guinea pig」と言いますが、これも、原産地が南米のガイアナ(Guiana)であるにもかかわらず、北アフリカのギニア(Guinea)と間違えられたことが由来とされています。
多くのモルモットはおとなしく、人にも慣れやすい草食動物です。野生のテンジクネズミは主に南米に生息し、草原や森林、沼地や岩場などざまざまな環境で暮らしています。
通常は岩の割れ目などを住処にして、5−10頭の群れで行動する夜行性の動物です。いろいろな鳴き声でコミュニケーションをとります。


モルモットは、毛の長さや質、つむじの有無など、様々なバリエーションがあります。
・イングリッシュ: 短くまっすぐな毛です。
・レックス: 短く縮れた毛が特徴です。
・アビシニアン: 短毛で全身につむじがあります。
・ペルビアン: 長くまっすぐな毛で、全身につむじがあります。
・スキニー: ほとんど毛がない種類です。
また、これらの毛質に加えて、毛にツヤがあるものは「サテン」と呼ばれます。
<飼育上の主な特徴>
・イングリッシュは、手入れが簡単なため、飼育初心者におすすめです。
・レックスは皮膚炎を起こしやすい傾向があります。
・長毛種は全般的に穏やかな性格ですが、長い毛の手入れには手間がかかります。
・スキニーは高い学習能力を持つため、ベテランの飼い主に人気がありますが、体温調節が苦手なため、温度管理に注意が必要です。
・毛色ではアグーチと呼ばれる毛色のモルモットは、丈夫で長生きする印象を持ちます。
~モルモットの身体的特徴~

・前足の指は4本、後ろ足の指は3本で、どの爪も鉤状になっています。 → 爪が伸びすぎると皮膚に食い込んでしまうため、定期的な確認と手入れが必要です。
・背中や肛門の周りには、皮脂を分泌する脂腺がたくさんあります。特に長毛種では、分泌物が毛について毛玉になりやすいため、こまめな手入れが欠かせません。・お年寄りの子、特に高齢の雄では、分泌物が固まって便と混ざり、肛門を塞いでしまうことがあるため、定期的に清潔に保つ必要があります。
・オス、メスともに鼠径部(脚の付け根)に一対の乳頭があります。
・歯はすべての歯が生涯伸び続ける「常生歯」です。歯が適切にすり減るように、繊維質の多い食事を与えることが非常に重要です。下顎の前歯は、上顎の前歯の2〜2.5倍の長さがあります。
・性別は、外部生殖器の形で見分けることができます。オスは、尿道口と肛門が小文字の「i」のように見えます。メスは、会陰部が大文字の「Y」のように見えます。
~モルモットのごはん~

モルモットは完全な草食動物で、1日の大半を食事に費やします。お腹が空いた時や、おやつをねだる時に「ピーッピーッ」と鳴く傾向にあります。また、大好きなものや人が近づいてくる予感がする時にも同様に鳴くことがあるため、ついついおやつをあげすぎてしまいがちですが、肥満や偏食の原因になるので注意が必要です。
また、モルモットは一度慣れた食べ物しか受け付けない傾向があります。新しい食事に切り替える際は、時間をかけて少しずつ慣れさせる必要があります。
モルモットは人間と同じように、体内でビタミンCを作ることができないため、食事から必ず摂取させる必要があります。また、ウサギや他のげっ歯類より葉酸要求量やビタミンKの要求量が高いことも特徴です。
・食事の4要素
- モルモット専用のフード
- 繊維質が豊富な乾草
- 新鮮な野菜や野草
- 水
・与える量は、全体量として1日に体重100gあたり約6gの食事量が目安ですが、個体差があるため、体重や便の状態を見ながら調整しましょう。健康なモルモットは、頻繁に均一な大きさの便をします。
<専用フードの選び方と与え方>
モルモットの主食として、品質の高い専用ペレットを食事全体の1/3〜2/3与えるのが理想的です。最近のペレットは保存性の高いビタミンCが加えられていますが、モルモットが確実に食べているか確認することが大切です。
固定式の食器を使うと、ペレットがこぼれたり、フンや尿で汚れたりするのを防げます。数種の穀類、野菜、種子を混ぜたモルモット用フードが市販されていますが、その場合、好きなものだけを選んで食べる偏食の原因になるため、避けた方が良いでしょう。
また、他の動物用のフードは避けましょう。ウサギ用のフードにはビタミンCが含まれておらず、他のげっ歯類用のフードも栄養バランスが異なるため、絶対に与えないでください。
与える量は健康な成体のモルモット(体重800g~1kg)には、1日あたり20~30gのペレットを、2回に分けて与えるのが一般的な目安です。

モルモットも消化機能の維持や歯の健康のために、牧草(乾草)を与えることは非常に重要です。チモシーなどのイネ科の乾草をメインに与えましょう。高タンパクなアルファルファと比べて、消化器系のトラブルや流産の原因になりにくいです。子どものうちからチモシーの味に慣れさせておくと、偏食を防げます。
与える量は成体のモルモット(体重800g~1kg)には、1日に茎の長い乾草を合計20g~30gを目安に与えましょう。柔らかい乾草を好むので、硬い茎の部分を残しがちです。柔らかい「グラスチモシー」などを混ぜて与えると、より多くの繊維を摂取させることができます。
牧草が尿で汚れたり床に散らばったりしないように、固定式の器やメッシュ状の器に入れて与えるのがおすすめです。生の青草は野菜と同様に考えるため、与えすぎると下痢の原因になることがあるので、与える量に注意が必要です。

<野菜・果物の与えすぎに注意>
モルモットの健康にはビタミンCの摂取が重要ですが、だからといって野菜や果物をたくさん与えすぎると、様々な問題が起こる可能性があります。好きな野菜や果物だけを食べてしまい、本来必要なペレットや乾草を食べなくなります。また、水分や糖分の摂りすぎ、繊維質の不足から、お腹を壊す原因になります。
必要な栄養源としてではなく、おやつとして少量だけ与えるのが理想的です。おすすめの野菜はパセリ、ピーマン、クレソン、カブや大根の葉など、ビタミンCが豊富で手に入りやすいものが良いでしょう。野菜を与える場合、小さな頃から様々な種類の野菜を少量ずつ与え、味に慣れさせておくことが大切です。葉物野菜なら10g程度を、1日数回に分けて与え、食べ残しはすぐに片付けるようにしましょう。
野草には歯の摩耗を助ける成分が含まれています。理想的には緩下作用のあるもの(タンポポなど)と収斂作用のあるもの(ナズナなど) を同時に与えると良いですが、手に入りにくいので、ごく少量をおやつとして与える程度で十分です。果物は糖分が多いため、ごく少量、たまに与える程度に留めてください。
<水の与え方と注意点> モルモットは、体重100gあたり1日約8mLの水を飲みます。常に新鮮な水を用意することが大切ですが、器に入れると水が汚れたりこぼれたりするため、給水ボトルを使うのが一般的です。
しかし、モルモットは口の中でペレットと水を混ぜて飲む習性があるため、給水口が詰まることがあります。1日に2回は水が出るか確認しましょう。慣れないボトルは使ってくれないことがあるので、新しいボトルにする際は、ご家族が直接給水口に触って水が出ることを教えてあげる必要があります。
水を飲む量を確認するためにも、水にビタミンCを溶かして与える方法はおすすめできません。
オススメしない理由
・水に溶かしたビタミンCはすぐに劣化する。
・酸味を嫌がって水を飲まなくなる可能性がある。
・ボトルの金属部分が腐食する原因にもなる。
~モルモットの飼育~

モルモットの飼育環境はウサギと似ています。モルモットはジャンプ力がないため、天井のない水槽やサークルでも飼育できます。市販のウサギ用ケージも利用可能です。
モルモットを飼育するうえで知っておいて欲しいのが、糞尿が非常に多いことです。また、トイレを全く覚えてくれません。そのため、こまめに掃除をしないと、皮膚炎や膀胱炎、呼吸器の病気などにかかりやすくなります。
そのため、お部屋を用意するときに
① 排泄物にあまり触れないようにする
② 換気の良い環境にする
この2つが非常に大切です。
まず、なるべく大きなケージを用意します。衣装ケースなどであれば、軽くてお掃除も楽チンです。そこにペットシーツなど吸収性の良いものをひいて、その上にプラスッチク性のすのこなどを敷きましょう。その際、足や指が引っかからないように、すのこの穴や隙間の大きさは注意してくださいね。
風通しが良くなるように換気ができるようにしましょう。逃げ出さないようにと蓋などで覆うと良くないので、壁にある程度の高さを出したり、網状の蓋にするなど工夫が必要です。
あとは隠れることができるシェルターや牧草や餌入れ、ボトル型の水入れなどを用意しましょう。
最適温度は18℃から24℃、湿度は50%から60%が理想とされています。