フクロモモンガについて
~フクロモモンガって?~
最初に、モモンガとフクロモモンガは、似ているようで、実は種類が違います。モモンガ(アメリカモモンガやタイリクモモンガなど)はげっ歯目リス科に分類されます。つまり、リスやプレーリードックなどの仲間になります。
一方、フクロモモンガは有袋類に分類されます。つまり、コアラやカンガルーなどの仲間なのです。
フクロモモンガの学名はPeturus breviceps といい、Peturusは「ロープを渡る者」とか「ロープのダンサー」と意味があり、brevicepsは「小さな頭」といった意味があります。
野生のフクロモモンガはオーストラリア北部から南東部、ニューギニア島、ビスマルク諸島にかけて分布しており、温帯から熱帯の森林に生息しています。
~フクロモモンガの特徴~
- フクロモモンガといえば、両脇にある飛膜と呼ばれる器官です。木と木の間を滑空するのに使われます。野生の場合、約50mも滑空する場合もあります。
- 有袋類のため、メスのお腹には育児嚢という袋があります。未熟なまま子供を産んで、袋の中で赤ちゃんを育てます。
- フクロモモンガの下顎切歯(下の前歯)は木の皮を剥いで樹液や樹脂を食べるために長くなっています。
- 前足の4番目の指は虫を捕まえるために長くなっていると考えられています。後足の2番目と3番目の指はくっついており、親指は物がつかみやすいように他の4本の指と相対するような位置にあり、形が大きく爪がありません。
- フクロモモンガは基本的に夜行性で、木の上で生活をし、集団生活好む社会性の強い動物です。優位なオスを中心とした一夫多妻制の小さな群れ(6~10匹ほど)で生活をして、臭いと鳴き声でコミュニケーションをとっています。巣は木の穴などに葉っぱを敷いて巣をつくって生活をします。
~フクロモモンガの飼育~
- フクロモモンガはよく人に慣れます。ちゃんと育てれば飼育環境によく適応し、人ともしっかりとした絆をつくることもできます。可能であれば、夜に1日に2時間以上はふれあい、慣れさせる時間をつくりましょう。ちなみに、小さなポケットや袋が大好きで、その中に入ると安心して喜びます。
- 社会性が強いため、単独飼育よりも多頭飼育が適しています。単独で飼育した場合、ストレスなどで病気になりやすくなったりします。
- 非常に活発なため、ケージは高さ・幅ともに広いスペースが必要です。(最低91×61×91㎝以上)また、臭いなどが強いため、換気の良い金網が良いです。ケージ内は隠れ家や運動場所などを考えなければいけません。巣箱はケージの高い所に用意し、木の枝や棚、止まり木なども用意しましょう。脱走の名人なため、扉はしっかりと閉まるようにしましょう。
- 夜行性のため、日中は静かな環境で、温度は24-27℃を好みます。
~フクロモモンガのごはん~
- 野生のフクロモモンガは昆虫食傾向が強い雑食性の動物で、昆虫、爬虫類や両生類、鳥の卵やヒナ、小型哺乳類などの動物性のものの他に、樹液や樹脂、花蜜、花粉、果物、種子類などの植物性のものも食べていることが確認されています。
- ペットとして飼育されているフクロモモンガで、野生のようなご飯を用意することは難しいです。また、詳細な栄養要求量はわかっていません。基本的には総合栄養食+様々なフードを用意するといいでしょう。タンパク質と炭水化物をそれぞれ約半分ずつの割合で与えると良いとされています。
- 具体的には、可能であればフクロモモンガ専用のフードや昆虫食動物用フード、入手が難しいようであればキャットフード、ドッグフードなどを主食として用意して与えます。加えて、ミルワームやコオロギなどの昆虫、ゆで卵、ササミ、などの動物性のものをタンパク質源として与え、メープルシロップやハチミツ、果物、ローリー用ネクターなどの植物性のものを炭水化物源として与えます。
- メープルシロップは樹脂や樹液の代わりに利用することができます。与え方として、市販のメープルシロップと水を1:1の割合で薄めて給水ボトルなどから与える方注もあります。この方法の場合、夏など高温多湿の場合では悪くなりやすいのでこまめな交換が必要です。他にも、種子類や野菜、100%ジュースなども与えることが出来ます。
- 主食以外のフードは与え過ぎないように注意が必要です。果物を中心とした食事にしてしまうと、骨粗鬆症や歯周病になりやすくなってしまいます。
<おすすめ>
- モモンガ専用フード
- 犬用の肝疾患用や腎疾患用の療法食
- イチゴ類、かんきつ類、イチジク、パパイヤなどの果物
- メープルシロップ
- ゆで卵、ささみ、低脂肪のカッテージチーズなどのたんぱく源
- ミルワームやコオロギなどの昆虫(できれば生餌)
〜ごはんはどのようにあげればいいの?〜
- フクロモモンガは夜行性の動物です。ごはんをあげる時間はフクロモモンガが動き出し始める時間(出来る限り夕方から夜にかけて)に与える方が良いです。
- ごはんを置く場所ですが、野生では樹上生活のため、ごはんや水はケージの底に用意するのではなく、ケージの高い部分に用意する方が良いです。また、排泄物を下に落とすため、衛生的にもケージの底に用意するのはお勧めではありません。可能であれば、木の枝に穴をあけてそこにごはんを入れてあげたり、ごはんをケージ内に隠してあげたりすると、野生下のように探すためより良いでしょう。
- フクロモモンガは栄養性や代謝性の疾患になりやすいです。ごはんの種類や量には特に注意が必要で、好き嫌いが激しい子やあまりごはんを食べてくれない子の場合は、ビタミンやミネラル、カルシウムを足してあげる必要があります。繁殖期や授乳期では、カルシウムが不足しやすいため、カルシウム剤を追加した方が良い場合もあります。