~フェレットのワクチン~
フェレットのジステンパーウイルス感染症をワクチン接種で守ろう!
みなさんこんにちは!
最近、フェレットのジステンパーウイルス感染症について質問があったため、今回はフェレットのワクチンについて簡単にお話ししますね。

フェレットは、犬ジステンパーウイルス (Canine Distemper Virus: CDV) に対して高感受性で、フェレットにとって非常に危険な感染症です。しかも、感染するとほぼ100%の致死率を示します。
CDVはパラミクソウイルス科に属し、犬だけでなくタヌキやアナグマなどの野生動物にも感染が広がっています。フェレットは年齢や性別に関係なく非常に高い感受性を持ち、感染から発症、死亡までの期間が短いです。
CDVは感染動物との直接接触や、汚染されたものを介した間接接触により、経口、経鼻、飛沫、空気感染で伝播します。感染源となるのは鼻水、唾液、めやに、糞尿、フケなどです。感染後7~10日の潜伏期間を経て発症しますが、ウイルス排出は感染7日目頃から始まります。

〜症状〜

発症初期には食欲不振、発熱、くしゃみ、鼻水、などの症状が見られます。特徴的なのは顎や口唇、眼の周囲から体へと広がる紅斑性の発疹で、やがて「Orange-tinged dermatitis」と呼ばれる橙色調の病変に発展します。
さらに、眼や鼻からの滲出物が黄色や緑色になり、目や鼻を塞ぐことがあります。また、足の裏が硬くなる**硬蹠症(こうせきしょう)**も特徴的です。ウイルス増殖によりリンパ球が減少し免疫力が低下するため、気管支炎や肺炎などの二次感染を引き起こし病状が悪化します。消化器症状として下血が見られることがありますが、犬と異なり嘔吐や下痢は少ない傾向にあります。
また、神経症状が現れることがあり、興奮、過剰な流涎、筋肉の振戦、痙攣、昏睡などが観察されます。しかし、フェレットは神経症状を発症する前に死亡することが多いため、神経症状が見られない場合もあります。近年では、皮膚病変がほとんどない神経症状が主体のCDV感染症も報告されています。
〜治療と予防〜

フェレットのCDV感染症に対する有効な治療法は確立されておらず、死亡率はほぼ100%です。
有効な治療法がないため、ワクチン接種による感染予防が不可欠です。日本ではフェレット用のCDVワクチンが認可・販売されていないため、獣医師の判断で犬用ワクチンが使用されています。
ワクチン接種は生後6〜8週目に1回目を接種し、その後3〜4週間隔で14週齢まで連続して行い、以降は毎年1回の接種が推奨されます。
ワクチン接種後にはアレルギー反応が見られることがあるため、接種後少なくとも30分間はフェレットの様子を観察する必要があります。
フェレットのジステンパーウイルス感染症は、発症してしまうとほぼ助からない非常に危険な病気です。だからこそ、予防が何よりも重要になります。獣医師さんとよく相談し、適切なワクチン接種で大切なフェレットをこの病気から守ってあげましょう。