動物病院 多摩

~外歯瘻って?~

外歯瘻は「歯」の病気です!


「ほっぺたに穴が開いている!!!」

なんてことが突然起こるかもしれません。

今日は「外歯瘻」についてお話します。


外歯瘻 犬

 


 外歯瘻(がいしろう)とは、歯の感染や炎症により形成された膿瘍(うみ)が、瘻孔(ろうこう:トンネルのようなもの)を形成して膿汁を排出するものを歯瘻といいます。特に口の外の皮膚に開口するものを外歯瘻と呼びます。ちなみに口の中にできるものは内歯瘻(ないしろう)と呼びます。
 
犬 歯 図

犬の歯の模式図


 
 歯周病根尖性歯周炎などが原因で膿瘍を形成します。根尖性歯周炎とは細菌感染などにより歯髄が壊死し、根尖周囲が化膿してしまう歯周炎です。

 原因は様々ですが、一番多いのが、歯が折れたり欠けたりすり減ったりして露髄してしまうことです。特に骨やひづめ、ゲージなどの硬いものを噛むことで歯が折れてしまうことが多いです。
 
根尖性歯周炎

根尖性歯周炎の歯の模式図

歯根 膿

歯根の周りに炎症を起こしている子のレントゲン写真



ちなみに、一番折れやすい歯はどこだと思いますか?

 







実は第4前臼歯とよばれる一番大きな奥歯で、特に上顎が折れやすいです。次に犬歯や切歯(前歯)が多いです。

 

犬 歯が折れた
歯が折れる

折れた第4前臼歯


 症状は歯の痛みや膿瘍による腫れなどにより、食欲がなくなったり、よだれが多くなったりします。その後に膿瘍が自潰してほっぺたや目の下、下あごなどから腐敗臭を伴う膿汁が排出されます。多くの場合、膿汁が排出されると痛みは落ち着きますが、治ったわけではありません。
 

膿が出る 犬

右目の下から排膿

 

 治療は、根尖性歯周炎の状態であれば、飲み薬だけではなかなかよくなりません。外科的な治療や抜歯など、歯科処置が必要です。特に歯瘻になった場合はほとんどのケースで抜歯が必要になります。
 

歯石 犬

歯石除去前の歯

抜歯 犬

歯石除去後

露髄しているのが見つかりました。

この子は、抜歯して治りました。

 
 予防は歯に損傷を与えないことがとても大切です。硬い食べ物やおもちゃを与えないようにしましょう。

 もちろん、日ごろからのデンタルケアも大切です。おうちで行う歯みがきなどはもちろんのこと、歯石がついていないか歯肉炎や歯周炎は大丈夫かを定期的に先生にチェックしてもらい、必要なら歯石除去など適切な歯科処置をしてもらいましょう。